鍼灸 つくし堂

温めて冷えを取る鍼灸院。
大阪市阿倍野区西田辺1-1-3森本ビル2階
℡ 06-6569-9751
● 完全予約制

症例紹介

モルトン病(足の指周辺が痛む)

50代男性。
主訴:足底の痛み、疼き。
歩行時、中足指節関節背屈位で痛みがでる。 

へん平足であるが、今回の痛みは初めてとのこと。

<初診>
テイ鍼を使い、腹部、背部を施術。
痛みは2割程軽減するが、まだ痛みがあるとのこと。

<2診目>
前回治療後、痛みは10→7

前回同様に治療。
痛みがある、2、3,4指の指間(榮穴)に三番ステンレス鍼を10分間置鍼。

<3診目>
前回治療後、痛みは7→3

前回同様に治療。

その後、痛みは軽減し普通に歩けるようになる。

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モルトン病は別名ハイヒール症候群とも呼ばれ、足ゆびの間に有痛性神経腫が発生する病気で、体重をかけると第3趾と第4趾の間に焼けるような痛みがはしり、歩くと強くなります。神経腫といっても、本当の腫瘍ではなくゆびに行く足の裏の神経が、靭帯に圧されて変形し腫大する”偽神経腫”です。
原因は足先の荷重です。ハイヒール、幅の狭い靴や底が薄くて硬い靴のほか、硬い床の上での運動や踊りも要注意です。

この患者さんは、冬でも裸足でいないと気持ちが悪いと言われ、足がかなり冷えていました。同様に、腹部も硬く、冷えていましたが、腹部の緊張が緩むと共に症状が軽減していったように思います。

また、榮穴に置鍼することで、経筋にも影響が出た症例です。

前立腺肥大による排尿障害

尿の意味は現代西洋医学的には老廃物の排出ということであるが、気の観点からみると身体の熱の調節をすることである。
尿の排出は熱を排出することであるが、これは尿が温かいことから判断できる。
だから尿が溜まると身体の熱が吸い取られて身体は冷える、とみることができるし、身体が冷えるとそれ以上に冷えないように身体は尿をたくさん出すようになる、とみる。

また、尿を排出するには一定の気力がいるから、尿の排出に障害があるものは身体が冷えていて、その力を出せない。

その結果、水分は身体に残ることになり、浮腫みとなる。それが、「出ないあるいは出渋る、尿線が細い、排尿開始が遅い、排尿痛がある」などの症状になる。
また、身体がさらに冷えると、尿を溜めることができなくなり、失禁する。 P257 尿、尿道の症状より

積聚治療―気を動かし冷えを取る 積聚治療―気を動かし冷えを取る
(2001/02)
小林 詔司

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70代男性、二程年前から徐々に尿の出が悪くなる。

病院で薬をもらって飲んで一時調子良くなっていたが、半年前からまた調子が悪くなる。

身体を温める治療を行い、治療後トイレに行くとスムーズに出るとのこと。

治療をしていて気づいたことは

①腹部がかなり硬く、しかも冷えている。

②指標が変化しにくい

③本人様は自覚されていないが、身体がかなり冷えているということ。

治療後、尿の出る勢いがよくなることは良く経験するが、身体の『冷え』が取り除かれて、身体の力が出てきたのだと思います。

但し、治療はもちろん大切ですが、食生活、普段の生活習慣など継続して変えていくことが重要だと思います。

便、おなら、げっぷが出ない

70代女性。 
主訴  :食欲不振、便、おなら、ゲップが出ない。 
既往歴 :大腸がんの手術歴有り。現在、胃潰瘍で治療中。 

腹診すると、硬いゴムのような板が奥に存在する感じがする。 

<初診> 
テイ鍼を使い、腹部、背部、足部を治療。 
お腹が少し緩む。本人様も変化を自覚。 

<2診目> 
前回同様に治療。 
前回治療後、良く寝れたとのこと。病気のことで少し不安定になって寝にくいことがあるとの事。 

その後週一回のペースで同様に治療。 

徐々に食欲が出て、便、おなら、ゲップが出るようになってくる。 お腹の硬結も緩んでくる。 
胃の調子も良くなり、薬の服用を中止。 

その後、少し期間が空き、今年の初めての治療の際に、大腸がんの検査に行ったが、検査の結果、3ヶ月おきの検査が1年おきになったと喜ばれる。また、体全体の倦怠感も改善され、今は生活を満喫されているとのこと。 


この患者さんは治療と共に、体を温める食事、生活をされることで改善の方向に向かったのだと思います。 
また、腹部が変化することで、体が良い方向へ変わっていくのではという希望と検査の結果が良かったことが『喜び』になり、ある時点から体の緊張が急速に緩んだのだと思います。

しつこい咳

82歳女性。 2年ほど前に風邪をひいてから、昼から夜にかけて咳が出て止まらなくなる。また、うつ伏せの姿勢になると体がしんどくなるのでできない。

週1回のペースで治療を始める。

1回目の治療後、うつ伏せになることが出来、肩、背中のつらさがかなり改善されたとのこと。

その後、週1回のペースで治療を続けるが、咳の出方は安定しない。

『咳は身体から異物を排出する作用とよくいわれるが、その時に呼気が強く出ることを考えれば、気を排出する作用と言い換えることが出来る。この気を身体の中に潜む冷気とみれば、咳によって身体は冷えを取り除き温めようとしていると解釈することができる。』
(積聚治療 気を動かし冷えを取るから)

治療を続けていく中で、背中や肩の筋の緊張はかなり緩んでくるが、頚部の筋の緊張は治療後は緩むが、また硬くなる。そこで、背中の治療と共に、頚部にも重点をおき治療を施術する。

1週間後、患者さんから咳の出方も大幅に減り、10から3ぐらいになったと聞く。その後、2週間に1度治療に来られるが、咳が出ることはあるが、以前に比べるとかなり楽になっていると聞く。
 
今回の症例は、陰虚が進み、陽実になっていた状態で、上半身の症状は比較的速く改善されましたが、咳の症状の改善には時間がかかりました。それだけ『冷え』が奥に入っていたのだと思います。

その後身体の調子をお聞きすると、足の裏の痛みや冷え感もあまり感じなくなったとおっしゃっていました。身体も自然と同じで、根の深いものは改善されるまで時間がかかるのだとおもいました。

また私も5年ほど前に急に咳が止まらなくなり、3週間ほど夜も咳で起きてしまうような状態になったのですが、今から考えると、職場が変わり、仕事がハードになり、体重が5キロぐらい減りましたので、冷えの自覚は当時無かったですが、今から考えると、精気の虚が著しかったのだと思います。早めに自分の身体の状態を把握することも重要だと改めて思います。

膝疾患(日常の生活について)

65歳女性。5年前から膝の変形が始まり、よく動くと膝の痛みがでる。今年の2月に引越しをしてから4階まで、階段を昇る生活になり、夜間痛が出たり、うずくような痛みが激しくなる。

週一回のペースで鍼灸治療をはじめる。治療後は、痛みは治まり、足全体が軽くなるが夜になるとまた痛みが出てくる。何度か治療をすすめていく中で、なぜ治療効果が持続できないか考え、良く患者さんから日常の生活を聞いてみると、普段、時間があればストレッチをしていて、お風呂などでも膝を伸ばす運動をしている、また、かんきつ類を良く食べる。ということがわかり、とりあえず一週間、かんきつ類とストレッチを止めてもらうよう指導をさせて頂いた。(かんきつ類は体を冷やす食べ物で、今の段階でのストレッチは火に風を送るような状態なので。)

一週間後、経過をお聞きすると、痛みの質が変わり、夜痛みで目が覚めることもなくなり、痛みのスケールが10から4になったとのこと。

その後も週一回の治療を続けているが、良い状態が継続され、運動もできるようになったとのことです。また、以前は足がほてり、冬でも布団から足を出して寝ていたのが、今はほてることがなくなり、朝まで足を出すことなく寝ていられるとの事です。

ここで思ったのが、 色々な疾患の中で、治療はもちろん有効であることは変わりないが、普段の生活習慣や食事、運動を少し改善するだけで体は大きく変化するということです。また、治療をすすめていく中で、体の『冷え』が徐々に改善され、痛みだけでなく、様々な症状に変化が出るということです。

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